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25.FreeCAD による、スピーカーの振動特性シミュレーション

 
 印刷に最適なPDFファイル板はこちらからダウンロードできます。
 下記のweb版は、PDFファイル版と同じ内容です。

   シミュレーションの例

目次

 1. はじめに
 2. スピーカーの描画
  2-1. バッフル板の描画
   2-1-1. 図面作成のための下準備
      【操作メモ】マウス操作の設定
   2-1-2. 図面作成
      【操作メモ】画面表示を大きくする
   2-1-3. ユニット取付穴の作成
   2-1-4. バッフル板の作成
      【操作メモ】交差軸の表示
      【操作メモ】図形の向きを戻す

 
 

1. はじめに

 より良い音のスピーカーを作るためには、基本的な音響現象の理解に加え、自分自身が出したい音のイメージを形にする技術が必要です。実際に作ったものを測定して試行錯誤するだけではなく、近年ではVituixCADやHornrespなど、周波数特性をシミュレーションする機能を持つソフトウェアも出てきました。

 しかし、これらのソフトウェアでは、スピーカーから出力される音の周波数特性がシミュレーションの主な対象になります。軸上特性だけでなく指向特性や群遅延なども分かりますが、スピーカーの音の良し悪しを決めるのはそれだけではありません。

 周波数特性に現れない(現れにくい)音の差異を生み出す現象の一つに、スピーカーを構成するエンクロージュアの振動特性があります。たとえばエンクロージュアを構成する素材や板厚を変えれば音が変わるのは明らかですが、上記のソフトウェアではそれを考慮することができません。
 周波数特性のみで音の良し悪しが説明できるというpreference rating score(1という考え方もありますが、少なくともオーディオマニアの要求品質を満たす音作りには周波数特性に現れない部分も考慮する必要があると私は考えています。

 エンクロージュアを構成する材料の違いや、厚み、内部補強は、音を鳴らした時の振動特性に影響を与えます。大手スピーカーメーカーのダイヤトーンは、1978年にモーダル解析と3D映像化によるエンクロージュアの研究開発(2をしており、同様の手法を個人でのスピーカー製作にも展開できないかと考えました。

 FreeCADというソフトは、無料で使えるソフトウェアでありながら充実したシミュレーション機能をもっています。CADに慣れていない人(私も含めて!)にとっては、簡単なシミュレーションでも難しく感じてしまうかもしれません。そこで、この解説書を作りました。初心者でも間違えず操作できるように丁寧に書いたら50ページを超えてしまいましたので、まずはざっと流し読みして雰囲気をつかんで頂けたら幸いです。


参考:
1) https://www.audifill.com/essay/eng/0_09.html
2) https://www.jas-audio.or.jp/jas_cms/wp-content/uploads/2016/01/2016-084-092.pdf


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2. スピーカーの描画

 2-1. バッフル板の描画

  2-1-1.図面作成のための下準備

FreeCADを立ち上げる。
「新規作成」を押す。
 

「Part Design」を選ぶ。
 

画面上の列から「スケッチを作成」 を押す。
 

XZ平面「XZ-plane」をクリック。
※他の平面でも良いのですが、バッフルと裏板を描くXZ平面の方がイメージしやすいと思います。バックロードホーンのような板組みの場合は、YZ平面を選ぶのが良いでしょう。
 


操作メモ:マウス操作の設定

画面右下で、マウスモードを「Revit」モードに変えます。他の有名な無料CADソフト「Fusion360」と同じマウス操作にしておきます。これは初期設定なので、一度ここで変えれば問題ありません。

 


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・マウスのスクロールボタンでのドラッグ(スクロールボタンを押しながらマウスを動かす)で、表示の十字をやや下の方に持っていきます。
 

 


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2-1-2. 図面作成

・バッフル板を描きます。画面上の列から、「長方形を作成 」をクリックします。

 
※上の列のアイコン配置や表示項目は、適宜変更が可能です。私は使いやすいようにいくつかのアイコンを削除したり並び替えたりしているので、初期配置から各アイコンの場所が変わってしまっているかもしれません。

長方形を描くには、左上で1度クリックして、適当なサイズにバッフル面を描画したら右下でもう一度クリックします。
 


長方形(今はバッフル面)のサイズを決めるために、画面上の一覧から「距離拘束 」をクリックします。対象となる線にマウスを持っていくと、黄色くなるので、そこでもう一度クリックします。
 


長さを入力するコマンドがでてくるので、ここではバッフルの長辺である200mmを入力しましょう。

 

 

長方形が大きくなって、画面からはみ出してしまったら、マウスのスクロールで表示サイズを調整します。(Revitモードの場合) 

同じように、短辺も長さを指定しましょう。マウスをもっていき、黄色くなったらクリック。
 


短辺は100mmにしました。
 

次に、バッフル板(長方形)の座標が決まっていないので、バッフルの底辺を原点に固定します。
ここで使うのが「対称拘束 」です。

対称拘束のマーク をクリックしたら、①バッフル左下 ②バッフル右下 の点を順番にクリックしていきます。クリックすると点が緑色になるのが分かると思います。

 クリック前

  クリック後

そして、最後に③原点をクリック すると、長方形が緑色に代わり、座標軸が拘束されます。



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操作メモ:画面表示を大きくする

FreeCADの標準設定では、点や寸法表示が小さく見づらいことがあります。

点を大きく表示するには、
編集→設定→表示→「マーカーサイズ」から設定します。

寸法表示を大きくするには、
編集→設定→スケッチャー(※下の方にあります)→表示タブ→フォントサイズから設定します。



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2-1-3. ユニット取り付け穴の作成

円を作成 をクリックし、先ほど描いたバッフル板の中の適当な位置をクリックして、円を作成します。
 

次に、円の直径を決めます。「円弧や円を拘束する 」をクリックして、円をクリックします。
 

ここでは、73mmとします。
 

次に、ユニットの穴をバッフルのセンターに固定します。「垂直拘束 」を押し、その直後に①ユニット中心、②原点をそれぞれクリックします。

 

原点の直上に、ユニット穴がきました。
 

今回はバッフルの中心を原点に合わせているのでこの方法が使えます。こうしておけば、後日バッフル幅を変更したい場合でも、ユニット穴が中心からずれることはありません。

もちろん、バッフルの左端から50mm、のように距離拘束でユニット穴の中心を定義しても構いません。
最後に、ユニット穴の高さを指定します。「距離拘束 」をクリックした後、①原点 ②ユニット穴の中心 の順にクリックします。 値は140mmにしてみましょう。




これで、バッフルの図面が描けました。同様の方法でバスレフダクト穴なども描くことができますが、今回は割愛します。

スケッチが終わったら、左側の「閉じる」を押します。
 

この辺で、一度保存をしておきましょう。一般的なソフトと同じように、左上の「ファイル」→「名前を付けて保存」で保存をすることができます。





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2-1-4. バッフル板の作成


次に、バッフル面を作ります。
画面上にある「パッド 」をクリックすると、先ほど描画した寸法に合わせて、バッフルが立体化します。

 

最初は、長さ10mm(つまり、バッフル厚が10mm)に設定されているので、ここで適宜バッフルの厚みを決めます。ここでは、18mmと入力してOKをクリックします。



立体になったので、ぐりぐり回してみましょう。
キーボードのShiftキーを押しながら、マウスのスクロールボタンを押したままマウスを動かすと、図形を回転させることができます。

 



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操作メモ:交差軸の表示

ここで、3つの矢印が見えます。「交差軸」と呼ばれるもので、あると便利なので表示させています。

表示をさせるには、「編集」→「設定」→「表示」→「3Dビュー タブ」→ 「標準:既定で交差軸を表示」にチェックを入れてOKをクリックします。


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操作メモ:図形の向きを戻す

図形の向きを戻したければ、
画面上部の「表示」 → 「標準のビュー」 →「ホーム」 をクリックします。

 


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 追記中
 続きは、PDFファイル板をご参照ください。



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