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35. Fostex FW800HS試聴記

 OJAS FOSTEX FW800HS

 世界のスピーカーOEMを手掛けるフォスター電機。その家庭用HiFiオーディオブランドが、Fostexです。長岡鉄男氏が製作するスピーカーにもFostexブランドのドライバー(スピーカーユニット)が搭載され、今でも人気のあるブランドの一つです。

 そのFostexのラインナップのなかで強烈な存在感を示すのが80cm口径ウーハーの「FW800HS」です。世界でも数少ない巨大な口径のウーハーが、どのような音を鳴らすのかはかつてより興味がありましたが、なかなか聴く機会がありませんでした。


 今回訪れたのは、KARIMOKU RESEARCH CENTER。カリモク家具が新たなパートナーと新たな価値を共創、グローバルに発信していくプロジェクトの拠点として、2024年にオープンした場所です。

 2026年2月21日~6月5日の期間には、本拠点の3フロア全てを使った展示「間の音」が開催。ブランド「OJAS」を率いる米国のオーディオデザイナーDevon Turnbull氏とのコラボレーションにより生まれた作品が展示されています。

 KARIMOKU RESEARCH CENTER
 KARIMOKU RESEARCH CENTERのエントランス



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1F 瞑想的リスニグルーム

 入り口を入ってすぐ右側の展示室「THE ARCHIVE」では、「瞑想的リスニングルーム:静謐(せいひつ)と対話の空間」の展示がなされています。

 OJAS

 モノトーンの箱の中は、茶室をイメージした4畳半の空間になっており、出入口は小さな円形の窓のみとなっています。
 先客がいて中の写真は撮れませんでしたが、OJASの16cm口径フルレンジ(Rokujyo)が部屋の角に置かれており、中心の炉のある場所にはレコードプレーヤーがありました。千利休を連想させる引き算の美学を感じさせる空間です。


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2F パブリックリスニグルーム

OJAS FOSTEX FW800HS

 2階に上がると、広い空間に大型のシステムが置かれていました。メインスピーカーは、TADの「D2002」を使ったホーンと、同じTADと思われる大型ウーハーを搭載した2way。そして、サブウーハーがFostex の「FW800HS」です。

 写真を見てのとおり、海外からの来客がほとんどで、私が滞在していた1時間で20名ほどが出入りしていました。

 OJAS

 CDプレーヤーはTEACの「VRDS-701」。レコードプレーヤーは、デノン製のモーターを使用。右側にある大きな箱が、OJASのプリメインアンプです。
 プリメインアンプには、Lo Mid Hi の3つの調整ツマミがあり、サブウーハーを含めてのマルチアンプ接続となっていました。外観はグレーのハンマートーン仕上げになっており、ビンテージアンプを彷彿とさせるものでした。

 OJAS FOSTEX FW800HS

 機材には「Do Not Touch」と書かれ、試聴は小音量でしたが、システムの素性の良さを感じることができました。

 OJAS TAD

 Jazzや、カントリー調の洋楽などが主な音源で、いずれも聴き心地の良さが印象的。フィーリングは滑らかで、豊かな抑揚が音楽的な魅力を引き立てます。
 クラシカルな外観の大型ホーンですが、音の歪感は非常に抑えられており、ホーン設計の巧みさを感じることができました。

 OJAS FOSTEX FW800HS TAD

 サブウーハーに相当するFW800HSとのクロス周波数は、おそらく80Hz前後と思われます。サブウーハーの近くで聴くと「グッ、グッ」と唸るような低音が聞こえましたが、そこまで強い音圧は出ていないようでした。
TADウーハーは大きめの箱に格納されており、間近で聴くとカリッとしたドライな響きで、その低音域を補完するようにFW800HSのサブウーハーが使われていると感じました。

 OJAS FOSTEX FW800HS

 小音量の試聴でしたが、FW800HSから出てくる超低音は、ゴンという硬質な質感を伴う低音を表現できる素晴らしいものでした。周波数特性だけであれば小口径でもそれなりの低音再生ができる昨今ですが、面で迫ってくる硬質さのある低音表現は、超大口径ウーハーの醍醐味だと感じました。

 メインスピーカーとの馴染みも良好で、箱鳴りもしっかり抑えられているのは、Davon氏の積み重ねてきた経験と、カリモク家具の技術によるものと思われます。

 OJAS スピーカー背面

 スピーカーの背面は、ネジ止めされているのが印象的です。また、ホーンとウーハーで異なるスピーカーケーブルが使われており、音質面でのケアが施されていました。


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B1F:プロダクトラインナップの全容

 OJAS カリモク家具

B1に降りると、小型のスピーカーシステムと、椅子を含めた家具の展示がありました。

 OJAS Nurikabe Rokujo Sanjo

 スピーカーは3機種あり、16cm口径フルレンジの大型スピーカー「Nurikabe」、同じく16cmの「Rokujo」。最も小さい8cmフルレンジの「Sanjo」です。それぞれ日本語の名前が付けられており、ユーモアを感じるところがあります。

 
 
 こちらは、木目調の仕上げ。生活空間へのなじみが良さそうな、ライトオーク色です。

 スピーカーユニットは、先日Fostexから発表された「FE163A-VB」「FE83A-VB」が類似のものとして発売されていますので、自作派の方はこちらも要注目かと思います。


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おわりに

 Devon Turnbull氏の率いるブランドOJASは、昨年度のMJオーディオフェスで初めて知ったのですが、海外からも多くの人が来ており、その知名度に驚かされました。MJ(無線と実験)誌などでその活動内容を知ることができるほか、雑誌「casa brutus」の2026年5月号(vol.313)では、本展示についての詳細な特集が組まれているほか、Devon氏が東京で購入し、リノベーションした別荘についても記載があり、先の小型スピーカー「Rokujo」が誕生する背景を知ることができる内容になっているのでお勧めです。

 私にとってオーディオというと、1960年代に始まった440mm幅の「フルサイズコンポーネント」のイメージが定着していますが、Davon氏のスピーカー製作はもっと先を見越したデザイン要素が組み込まれていると感じました。オーディオの可能性を示すOJASブランドに、今後も注目してきたいと思います。


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