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36. Feastrex訪問・試聴記2026
2026年7月、広島県福山市にあるfeastrexの試聴室に行ってきました。
feastrex(フィーストレックス)は、日本のハイエンドスピーカーユニットメーカーです。 以前は山梨県韮崎市に拠点がありましたが、2023年に亡くなられた前社長の秋山氏の後を継ぎ、現社長の佐藤氏が広島での活動を開始しています。
早速試聴感想を…といきたいところですが、まずは私の過去のfeastrex試聴体験を紹介します。
2009年
私が初めてfeastrexを聴いたのは2009年のこと。 八王子の家具屋 村内ファーニチャーアクセスの傍らにあるログハウスでの試聴会のときでした。

2009年11月01日 東京都八王子の試聴会場にて
そこで聴いたのは、共鳴管型の「田中式キャビネット」、バスレフ型の「F-60」に搭載された、12cmフルレンジスピーカー(NF-5ex?)でした。
当時はまだ学生で、自作スピーカー歴も5年に満たないころでしたが、それらが奏でる、圧倒的な情報量と雄大な低音に、多大な衝撃を受けました。
2010年
次にfeastrexに出会ったのは、2010年に同試聴室で開催された試聴会でした。

2010年06月06日 東京都八王子の試聴会場にて
試聴したのは、「田中式バックロード箱」に収められたアルニコ磁気回路のNF-5。 当時の私の感想は、下記のようなものでした。
ヒラリーハーンのバイオリンが優雅に鳴ったと思えば、
フルオーケストラの低音が大地を揺るがし、
女性ボーカルは芳醇に響き、
ウッドベースは豪快に炸裂する…
という圧倒的な音。
さらに、この日は励磁型feastrexと初対面した日でした。 やや硬めの音で鳴っていましたが、後に韮崎の試聴室に行くきっかけになった試聴会でした。
2015年
それから5年が経った、2015年。 社会人になった私は、当時の本拠地である山梨県韮崎へ行きました。
12cm口径励磁型のNF-5ex、そのバーメンジュール磁気回路版のD5e-TyoeⅢ。それぞれ、共鳴管型箱「やくの」、バスレフ箱「F-60」に入れた状態で聴くことができました。
22cm口径(9インチ)の励磁型スピーカーの試作機も聴くことができ、本拠地で聴くそれらのスピーカーの圧倒的なパフォーマンスに驚かされました。
私個人として、大いに惹かれるものはありましたが、当時はオーディフィル起業の慌ただしさに追われて、feastrexの導入は長らく先延ばしになっていました。
2026年 ~試聴室訪問~
そして、10年の時が過ぎ、オーディフィルのフラッグシップスピーカー構想を練る段階になった2026年。 新社長の佐藤氏によるfeastrexの復活と、ガラス振動板を搭載した新機種「NF-5G」「NF-5Ge」の情報が飛び込んできました。
これは行くしかありません。
試聴室のある広島県福山市を目指して進行です!
木造でできた広大な空間と、最新型の12cm口径スピーカーユニット「NF-5G」「NF-5Ge」が出迎えてくれました。
励磁型 NF-5Ge

feastrex NF-5Ge
励磁型の「NF-5Ge」で、生楽器を主とした楽曲を何曲か聞くと、今までのオーディオでは聞いたことのない音を感じました。
言葉にするのならば、
ザラツキがなく、空間にフーっと抜ける音です。
オーディオショップで様々なスピーカーの聴き比べをしますが、それらの市販スピーカーの音の違いを「横軸」するのならば、このfeastrexの音は「縦軸」方向に違う音です。
アルニコ磁石搭載 NF-5G

feastrex NF-5G
次に、アルニコ磁石を搭載する「NF-5G」を聴いてみました。外観は、先の励磁型と殆ど違いはありませんが、電磁石と永久磁石の差が気になるところです。
こちらは、
より安心感のある音で、やや濃いめの音と感じました。
佐藤氏から、圧倒的な透明度を誇る励磁型「NF-5Ge」と比べると、アルニコ磁石の「NF-5G」は中高域に僅かな刺激感があるという説明を受けました。 私自身は、「NF-5G」の音に刺激感があるとは一切感じませんでしたが、聴き馴染みのある感じは、その中高域の特性ゆえではないかと納得しました。
それでもこのNF-5Gの音は、一般的なフルレンジ(紙コーン以外のものも含めても)とは大きく異なり、
ピアノの深みやボーカルに肉厚な安定感を感じる、異次元の音でした。
マルチウェイのように鳴るフルレンジは、今まで何度も聞いてきましたが、
このNF-5Gシリーズは、「フルレンジの王道中の王道を突き詰めたような音」です。
サラッとした不自然な音は皆無です。
また、張り出し感や、スピード感を誇示するようなことも全くありません。
音楽のファンダメンタル帯域である中域を、丁寧に丁寧に描写する音です。いわゆる「大人の音」なのです。
ガラス振動板について

完全に透明で、黒く見えるfeastrexのガラス振動板
見た目で印象的な「ガラス振動板」について興味深い話を聞くことができたので、ここに書いておきます。
極薄板ガラスUTG(Ultra-thin Glass)を用いた振動板は、既に他社で採用事例がありますが、feastrexのは、
0.15mmという極限の薄さを誇ります。 裏面にフィルムを貼っていないため、色は完全な無色透明です。
極限まで振動板を薄くすると、音が暴れるとの話もありますが、後述する独自の磁気回路のお蔭で、そうした悪影響は感じず、極薄ガラス板のピュアな音を引き出すことができています。
以前のfeastrexのトレードマークであった和紙ベースの振動板も素晴らしいものでしたが、
この新たに採用したガラス振動板は、より「生っぽい音」「艶めかしい音」に近づいた印象です。
開発者の佐藤氏に話を聞くと、この振動板に辿り着くまでは、柿渋塗装の紙振動板なども試していましたが、直感で選んだガラス振動板が大当たりだったとのこと。 私も、このガラス振動板のザラツキのない音は、新feastrexの目指す音に合致していると感じました。
Naturflux 球形磁気回路について

2015年 韮崎試聴室にて撮影
次に、磁気回路についてです。
球形の「Nature Flux」磁気回路は、その見た目のユニークさもあり、どのようなものか興味津々でした。 佐藤氏に話を伺うと、想像以上のノウハウが入っていることが分かりましたので、少し長くなりますが丁寧にお伝えしようと思います。
ポイントは「磁気飽和」という言葉です。 磁性材料には、通せる磁束密度の上限値が決まっており、その上限に至っている状態が磁気飽和状態です。
スピーカーの磁気回路は、磁石の磁力線を、ヨークやトッププレートと呼ばれる部品で、ボイスコイルのある空間(ギャップ)に向けて収束させます。 このとき、高い磁束密度となるボイスコイル近傍において、磁気飽和が起こります。
世の中にあるスピーカーの大多数が、磁気飽和状態になっています。
ここで、問題が起こります。
振動板の質量が付与されたボイスコイルは、そこに電流が流れたとき、第二の磁石として機能します。
ボイスコイルに流れる電流は、時には磁気回路中の磁束を減らし、時には磁束を増やそうとする働きをします。 これは、音楽信号に同期する、ダイナミックな変化です。
しかしながら、先ほど、大多数のスピーカーが「磁気飽和状態」であると述べました。 磁束はもうこれ以上は上がらない状態なのです。
この飽和した磁気回路に、ボイスコイルに起因する磁束変化が加わったとき、磁束はどう変化するでしょうか。 飽和値以上に磁束は増えることはありませんが、減ることはあり得ます。
つまり、
「磁気飽和状態」の磁気回路において、音楽信号に由来するボイスコイル内の電流によって、正方向と負方向で異なる変化を示す、【非線形】の磁束変化が起こります。 非線形の磁束変化が起きると、たとえば本来は正弦波である振動板の動きが、三角波のような動きになります。 このとき高調波歪が発生します。
大半のスピーカーに内在する飽和磁気回路は、TSバラメーターのような静特性評価では何も問題が表れません。 しかし、ボイスコイルを流れる音楽信号の存在が動的歪を発生させるのです。
この「磁気飽和が原因の動的歪を避けること」が、feastrexの磁気回路設計の根幹です。
それでは、どうすれば磁気飽和を防ぐことができるでしょうか。
一つの答えは、「磁束を弱めること」です。
しかし、単純に磁力を弱めると、能率の低下や、制動力の低下が起きてしまいます。
もう一つの答えは、「磁性材料を潤沢に使うこと」です。
道路で例えるのなら、渋滞(=磁気飽和)が起こるのなら、道路を太くすればいい!という考え方です。
feastrexのNF-5Gに使われるアルニコ磁石は、他に例をみないほど太いものが使われています。
アルニコは、フェライトやネオジムより遥かに透磁率が高い優秀な永久磁石ですが、鉄などの磁性材料と比べると早く磁気飽和に至り、磁気回路の律速になりやすい素材です。 その断面積を増やすことは、磁気飽和を無くすために有効です。
さらに言えば、
磁石を永久磁石ではなく電磁石にすれば、磁気回路の全てを透磁率の高い材料で作ることができ、より効果的に磁気飽和を避けることができます。 それが励磁型モデル「NF-5Ge」のメリットです。

feastrex webページより
また、球形に作られた磁気回路は、磁力線の急激な変化を最小化することができます。 磁気飽和を防ぎつつ、磁束漏洩も抑えながら、十分な断面積を保ったままボイスコイル近傍へ磁束線を収束させることができます。
先に述べたように、
磁気回路内の磁束は、ボイスコイルからの電力(=磁力)により刻々と変化しています。 この変化に対して、リニアに対応できることを追求したのが、feastrexの磁気回路の本質なのです。
比較例として、過去にfeastrexが作った巨大なアルニコマグネットを使って磁束を大幅に高めた「モンスターアルニコ」モデルも聴かせて頂きました。 振動板は、柿渋を浸透させた紙です。

磁束を大幅に高めた状態の「モンスターアルニコ」モデル
たしかに、低音のダンピングは大幅に上がり、いわゆるハイスピードな音です。 しかし、中高域が耳に刺さる感じになってしまっています。 これは飽和状態の弊害とのことで、磁石を弱める「減磁」をすれば好ましい状態になると佐藤氏から説明を受けました。
スピーカーユニットの性能の指標に磁石の強さがよく話題に上がりますが、
「磁石が強ければいいという訳ではない」というのを身をもって経験することができました。
ダンパーについて
フルレンジの最高峰に君臨するfeastrexのユニットには、振動板、磁気回路以外にも、特徴的な技術が搭載されています。
その一つが、
リング状の「ワイヤーサスペンション」です。
このダンパーは、一般的なクロスタイプのダンパーと比べ、布繊維に由来するザラザラとした付帯音の発生がないだけでなく、空気抵抗や形状変形に伴う抵抗を激減することができます。

(左)従来型のクロス(布)タイプダンパー
(右)feastrexが採用するワイヤーサスペンション
ボイスコイルボビンの周囲全て布で覆う従来型のダンパーより、ボビンをピンポイントで支持する方が、音離れが良くなります。 これは、スピーカー設置で、ベタ置きよりスパイク設置の方が音離れが良くなることと同じ構図だといえます。
かつてあった、糸ダンパーや蝶ダンパーの思想を引き継ぐものです。 これらは非常に生産効率が悪く、他社製品では殆ど姿を見なくなってしまいました。 このリング状ダンパーは、すべて手作業で作られるfeastrexだからこそ実現できた拘りの機構です。
エッジについて
最後に紹介する特徴は、不織布を使ったエッジです。
多くのスピーカーユニットでは、発泡ゴムが使われます。これは、周波数特性を平滑にしやすく、量産性に優れているためです。
しかし、NF-5G、NF-5Geでは音の純度を最優先し、
極薄の不織布エッジが用いられています。 振動を抑えつけず、自然な減衰をもつ不織布エッジの特性は、音質にも大きく効いています。
スピーカーエンクロージュアの例 (箱型)
feastrexは、ユニット販売のみをしていますが、試聴室にあった2つの箱を聴くことができました。
今回メインに試聴したのは、箱型の密閉箱です。背面には小さな穴が開いていますが、インピーダンス特性をみるとバスレフとしての動作はしていないとのことでした。吸音材は無しです。

試聴はオリジナルの半導体アンプを使用。箱前面の穴は塞がれている。
<以下、アルニコ磁石のNF-5Gの感想>
女性ボーカルとして、藤田恵美の「Desperado」を聴くと、体が見えるようなリアリティを感じました。小口径フルレンジですが、しっかりとした中低域の厚みを感じる、艶めかしい音です。
この録音はボーカルが入る前にわずかに録音由来のノイズが聞こえるのですが、それもしっかりと再生されており、情報量の多さを感じました。
JAZZも艶めかしく美しい音色が印象的です。ブリッとしたホーンセクションの音色は、市販のホーン型スピーカーで聴くよりも遥かに濃厚で、味わい深いものでした。ウッドベースの低音も肉厚で、心地よく聴くことができました。
一般的なスピーカーでは希薄になりがちな背景の楽器や残響音にも、しっかりとした表情があるのには驚かされました。音場は非常に広大でありながら、どこまでも深く詳細に描写されます。
アニソンは、榊原ゆいのボーカル「片翼のイカロス」を聴きました。 かつてのコンプレッサが強くかかった時代の楽曲でしたが、NF-5Gの色彩感の表出がジャストフィットし、力強い歌いっぷりを聴かせてくれました。 甲高さやサ行の刺さりは皆無であり、安心して聴ける音なのも好印象です。

試聴は、一部スーパーツイーターを使用して実施。
スピーカーエンクロージュアの例 (球形)
とても面白い形状のスピーカーです。 理想的なエンクロージュア形状である球形をそのまま具現化したような作品で、海で使われるブイ(浮き)を加工した密閉型スピーカーです。 スピーカーユニットは、内ぶり上部を向いており、空間に放たれた音をリスナーが聴くようなイメージです。 内部には、吸音材が充填されています。
<以下、励磁型のNF-5Geの感想>
先の箱型エンクロージュアと色彩感と音像の濃さは共通しなら、さらに
漂うような空気感の表現が加わります。
女性ボーカルやクラシック、さらにはクラフトワークの電子音楽を聴きましたが、いずれも立体感のある空間にたなびくような音に魅了されました。
音像に硬さはないのですが、そこにいるという実在感は他の何よりも強く感じる、という未だかつてない体験でした。
クラシックの生演奏に行くと、コンサートホールにたゆたう音の美しさに感動することがあるのですが、この球形エンクロージュアはそれを見事に再現しています。 純邦楽の雅楽を聴くと、仄暗い空間の中に妖艶たる音の響きが表出され、雰囲気満点です。

試聴方向から見た状態。ユニットは、やや内ぶり、上方に向いている。
アニソンは、ラブライブ!サンシャイン!!の楽曲を数曲聴きました。 混濁感や硬さはないのですが、エネルギー感は控えめで、やや大人びた描き方になると感じました。
そこで、励磁電圧を5Vから9Vに上げてもらうと、代々木体育館や幕張メッセでのライブを彷彿させるような熱いエネルギー感が復活。 電圧を上げることは磁気回路が飽和状態に近づくことを意味しますが、こうした懐の深い使いこなしができるのも励磁型のNF-5Geの魅力だと感じました。
総論
佐藤氏に話を伺うと、feastrexのドライバーは、
音の空気感、弱音の響き、音の消えぎわ、そうした表現力を自嘲的な音量で極限まで高めた設計にしているとのことでした。 また、一つ一つハンドメイドで作っており、完成後の試聴も時間をかけて全数行っているという話を聞くことができました。 これは高価になるのも納得です。
フルレンジを選んだのは、
ネットワークレス、位相の回転がないこと、一本で使えるコストメリットなどを鑑みての選択です。 こうした個々の特徴を生かした設計を、実用的な音量域に特化したことで、最高峰の音を実現できたのだと思います。
私が感じた個々の感想は、ここまで述べたとおりですが、
星の数ほどあるフルレンジユニットの中でfeastrexが奏でる音は、他にはない世界で唯一のものであるのは間違いありません。
以前の紙コーンの時代のものも魅力的でしたが、NF磁気回路の魅力である音のたたずまいは、あの時代から何段階も磨き上げられていると感じました。
音の品位を高めるために、各部品の配置がギリギリまで詰められていることもあり、大音量での再生は想定しないほうが良いです。 しかし、生演奏のコンサートホールに漂うあの空気感を表現できることは、何にも代えがたい価値を感じるものでした。
外から見えるガラス振動板が注目されがちですが、NF-5GとNF-5Geのチャームポイントはそこではなく、贅沢に作られた磁気回路、それを磁気飽和しない領域で使うことが、本機の音を決定づけています。

実用音量で最高の音を狙うため、各部材間のクリアランスはギリギリに調整されている。
使いこなしのポイント
本機はユニット単体で売られており、私もいち早く入手して箱を作りたいという欲に駆られていますが、使いこなしにはいくつかの勘所がありそうです。
<エンクロージュア形式について>
まず、低音が十分すぎるぐらいよく出ます。 Qtsが高めであり、Cmsが大きめという
TSパラメーターから想像する以上に、低音の量感を感じる試聴結果でした。 これは一般的なドライバーにある高域のキツさや刺激感がfeastrexには無いため、相対的に低音がよく聞こえるためでしょう。 また、低音はゆったりとした表情ですが小口径フルレンジということもあり鈍さは感じませんでした。
エンクロージュアは密閉型が作りやすい(25~30Lが推奨)ですし、共鳴管型も良さそうです。 バスレフ型で作る場合は、ダクト共振周波数は低め(40Hz付近?)とするべきでしょう。
個人的には、磁気回路の美しさがいつでも眺められ、得意な音場再生にさらに磨きがかかかるであろう、
後面開放型や平面バッフル型も注目すべき選択肢になると思っています。
バックロードホーン型は中低域が被るため不向き。 低音の量感を調整しやすいバックロードバスレフ(BHBS)型や、多自由度バスレフ(MCAP)型は、設計次第では実用になるものと思われます。
<ネットワーク・吸音材について>
ネットワークレスが基本です。 NF-5G・NF-5Geは、一般的なフルレンジのような刺々しさや強調感がないため
ハイカットやPST回路は不要です。 試聴した感じではバッフルステップ補正はその効能よりネットワークが入るデメリットの方が大きく出そうなので、慎重に検討した方が良いと思います。
また、(聴感での判断ではありますが)軸上で高域フラット、30°特性はハイ下がりとなっていると思われます。 そのため、音の好みによっては
アドオンでツイーターを加えるのも視野に入るでしょう。 その際はツイーターをON/OFFできるようにしておくことで、いつでもfeastrexドライバー単独の音を楽しむことができます。
悩ましいのは低域で、先述したようにNF-5G・NF-5Geは極めて繊細なダンパーとワイヤーを使っており、これらの大振幅耐性が弱いと感じました。 もし、下にウーハーを足すためにローカットフィルターを入れるのであれば、スピーカーユニットの持ち味を損ねていないか十分に注意して素子選定をする必要があります。
また、大振幅耐性については部材側での工夫も可能というコメントを佐藤氏から頂いているので、購入を検討する段階の方は事前に相談してみると良いと思います。
吸音材は、吸音材レス~たっぷり充填まで幅広い使い方が可能と思われます。 吸音材を使うと空間表現がこじんまりとしてしまうことが多いですが、
少なくとも試聴室で聴いた「球形エンクロージュア(※吸音材は充填されている)」は、吸音材の悪影響は感じませんでした。
おわりに
feastrexの技術が受け継がれ、ロストテクノロジーにならなかったことは本当に良かったと思います。 秋山氏がデザインしたNature Flux磁気回路の魅力はそのまま引き継がれただけでなく、振動板が紙からガラスに変わったことで恍惚とする空間に漂うような音の表現は異次元のレベルに進化したといえます。
決して安価なユニットではありませんが、
じっくりと腰を据えてその使いこなしを探求する価値のあるユニットであるのは間違いないでしょう。 そんなユニットを作るfeastrexというメーカーが日本にあることが、何よりも誇らしいと思います。
評論/情報 > オーディフィル音質探求道 >36. Feastrex訪問・試聴記2026