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31. もちづきオーディオ倶楽部 Vol.1
2025年8月23日、長野県東部にある佐久市で、もちづきオーディオ倶楽部Vol.1が開催されました。
この会は、会長の鈴木明日翔氏が
「オーディオに興味を持つ若い年齢層の人たちに知識と経験を積んでもらい、オーディオの楽しさを満喫できるようにサポートしていく」ことを目的に設立。 今年の2月にはプレイベントを開催しており、満を持してのVol.1開催です。
プレ発表会の案内(公式ページ)
プレ発表会の様子(MJ 公式note)
今回のVol.1の案内(公式ページ)
ちなみに名称の「もちづき」は、佐久市西部にある望月地区に由来しています。蓼科山の麓であり、近くに温泉もある素敵な場所です。
リファレンススピーカー
午前中はアンプの発表で、そこで使われたのがこちらのスピーカーです。
マクソニックT-45EX と F-201EXの、2wayスピーカーです。励磁型で有名なマクソニックのドライバーのなかで、20cm口径のものをウーハーに使い、ツイーターとしてホーンドライバーを組み合わせています。
ざっと50L以上の容量はあろうかと思われる箱は、開放的でパワフルな低音が印象的でした。低域の締まりは、組み合わせるアンプによって様々な表情を見せ、リファレンススピーカーとしての役割を存分に発揮してくれました。
極めて高い解像度と切れ味をもつツイーターとのクロスオーバーには、良質な素子が使われていました。
発表作品(真空管アンプ)
本イベントは、真空管アンプが午前中、スピーカーが午後という流れでした。真空管アンプは詳しくないのですが、簡単に紹介しようと思います。
最初に少しだけ鳴らしたアンプ。素人目に見ても物量が半端ないモノーラルアンプで、さらにファインメットコアが使われているとか。
エネルギー感と切れ味が凄い。
Iさん製作の6V6 UL ppアンプ。オペアンプで位相反転。ハシモトのトランスの前に並ぶ、小さな真空管が可愛い。
まろやかなテイストで、包み込まれるような雰囲気が魅力。
Hさん製作の6V6アンプ。ウッドな質感のシャシーが良いですね。
音の描き出しの解像度が高く、小音量でも存在感が失われない良さが感じられました。
Uさん製作の、光カードリッジアンプ+真空管アンプ。DSオーディオの光カードリッジのアンプを自作するという熱意に脱帽です。アンプは真空管ながら、ダンピングファクターを高めた設計。
一聴して、低音の制動力が抜群に高いことが分かります。
デジタルとアナログの良さをブレンドしたような音で、安心して聴けました。
制動力は強いながらも、Dレンジが大きく伸びやかな鳴り方なのは良いですね。
Sさん製作のSV572の真空管アンプ。160増幅率のものを使用したそう。811も良かったが、目新しいこちらを使用したとか。特注というゼネラルトランスも含め、かなりの物量が投じられています。
積極的に音が出てくる魅力があり、元気をもらえる音でした。
Iさん製作のアンプ。4段チョーク、6s57。ダイナミックカップリングという方式。 2.5Wという出力を感じさせない、
エッジの効いた音が、積極的に鳴り響く魅力がありました。
写真を撮り忘れてしまったのですが、Kさんが蓄音機を持参。動力はゼンマイなので、本当の電気レスです。まろやかで、電気的な歪のない再生音に驚かされました。
発表作品(スピーカー)
午後は、スピーカーの発表です。
naosanさん(X:
@2000f10)のスピーカーは、JBL LE20-1(ツイーター)、JBL 2115A(ウーハー)を使った2way。エンクロージュアは、上下に大きな開口部をもつ両開口型共鳴管。
鮮度の高い音で、ドラムの立ち上がりが素晴らしかったです。
かさじぃ~。さん (X:
@kasajiiyo)のスピーカーは、高域が 音工房Z Z-Siena [Tang Band W4-1878]のフルレンジ。低域が MONACOR SPM-205/8というオープンバッフル用ドライバー。
厚みのある低音表現が印象的で、上部のフルレンジドライバーにより刺激感のない中高音がうまく付与されていました。このウーハーユニットは、あまり制動が強いタイプではありませんが、オープンバッフルでも容易に60~150Hz付近の低音を出すことができる使いやすい製品だと感じました。
私、カノン5Dが持参したサブウーハー。オープンバッフル型との組み合わせは初めてでしたが、クロス周波数を60Hzにして上手くつなげることができました。
アニソンのような現代的な超低音が入った楽曲を沢山選曲に入れてのデモになりました。若干サブウーハーの音圧を上げすぎたかも、という反省はありつつも、
構造剛性振動板ならではの音階が明瞭な超低音を聴いて頂けたかなと思っています。
タニアンさん(
@tanian022)が修繕したJBL C36 Viscount。 15インチウーハー(D130)とホーンツイーター(075)の2wayという、現代とは違う風格を感じる構成です。中音域のつながりに苦労したとのお話でしたが、
比較的バランスよく再生できており、楽しめるサウンドに仕上がっていました。
こちらはヤマハの9cmフルレンジに、小澤先生の共鳴管箱を組み合わせた、MJ誌のキット。
細身ながらも低音域は十分に確保され、幅広い音楽ジャンルに対応できる作品だと感じました。
おわりに
初めてのイベントとのことでしたが、しっかりとした進行のもと開催され、とても楽しく充実した時間を過ごすことができました。また機会があれば、ぜひ参加したいと思います!
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