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第19回 シミュレーションでのホーン長の比較2

 前回に引き続き、Hornrespを使ったシミュレーションをしてみます。

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計算の条件

 前回はホーンの開口部を一定にしてのシミュレーションを行いましたが、今回は【ホーン体積】を揃えた条件で比較をしてみます。現実的なスピーカー寸法のなかで、どうやって好ましい低音を手に入れるかという課題に対して、シミュレーションで迫っていこうと思います。



 上図に示したように、ホーンの体積を24.6Lに固定したまま、ホーン長を調整したときの特性をシミュレーションしてみます。

  




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周波数特性

 ホーン長を1.0~3.0mまで変えた時の周波数特性は、以下のような結果になりました。ここで示しているのは、スピーカーユニット振動板とホーン開口の双方からの音を合成した特性です。


 ①ホーン長 1.0m (理論共振周波数85Hz)
 

 ②ホーン長 1.5m (理論共振周波数57Hz)
 

 ③ホーン長 2.0m (理論共振周波数43Hz)
 ホーン長2.0mでの周波数特性シミュレーション

 ④ホーン長 2.5m (理論共振周波数34Hz)
 

 ⑤ホーン長 3.0m (理論共振周波数28Hz)
 


 大まかな傾向は、ホーン開口部を一定にした前回のシミュレーションと同じでした。ホーン長を伸ばしたときには、たとえ開口部面積を犠牲にしたとしても、80Hz付近まで十分な音圧が得られ、28Hzの再生も狙うことができる結果になりました。

 一方で、ホーン長を短くしたときは、1/4共鳴から想定される共鳴周波数は85Hzですが、実際の最低域は120Hz付近という結果になりました。
 ホーン長1.0mの①では、開口部の面積を770cm2まで拡大することができたことで、200~600Hzの凹凸は抑制されました。しかし、こうしたメリットより最低域の伸びが悪くなるデメリットの方が勝ってしまうように感じます。



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インピーダンス特性

 次に、インピーダンス特性を比較します。

 ①ホーン長 1.0m (理論共振周波数85Hz)
 

 ②ホーン長 1.5m (理論共振周波数57Hz)
 

 ③ホーン長 2.0m (理論共振周波数43Hz)
 ホーン長2.0mでのインピーダンス特性

 ④ホーン長 2.5m (理論共振周波数34Hz)
 

 ⑤ホーン長 3.0m (理論共振周波数28Hz)
 


 インピーダンスでは、開口部が770cm2と非常に大きくなった①では、高域側になるほど凸が小さくなるという結果が得られました。比較的開口部が広くなったことで、ホーンの放射効率が高まったためと考えられます。




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群遅延特性

 最後に群遅延特性を比較します。

 ①ホーン長 1.0m
 

 ②ホーン長 1.5m
 

 ③ホーン長 2.0m
 ホーン長2.0mでの群遅延特性

 ④ホーン長 2.5m
 

 ⑤ホーン長 3.0m
 


 群遅延でも、開口部を大きく設定できた①の優秀さが目立ちます。開口部を大きくできなかった⑤は、さらに400Hz付近の特性が悪くなってしまいました。



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まとめ

 今回は、ホーンの体積を同じにしたまま、ホーン長を変えてのシミュレーションを行いました。結果として、短いホーンでは開口部が大きく、長いホーンではその逆になり、それが結果に大きく影響を与えています。結果をまとめると、以下の通りです。

 ・ホーンの開口部が小さくても、3mのホーンでは重低音域の音圧が得られた。
 ・ホーンカットオフが大きく上昇した1.0mのホーンでは、再生帯域が狭くなった。
 ・開口部を大きくできた1.0mのホーンでは、中低域のクセが抑えられた。



~続く~

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