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バックロードホーン型スピーカーの特性~その8~

 FE168SS-HPを使ったバックロードホーン型スピーカー「S-076」の特性について、もう少し詳しく見ていきましう。

 Fostex FE168SS-HP搭載バックロードホーン S-076 図面はこちら


 まず、インピーダンス特性です。これは、ZMPというソフトで測定をしています。
バックロードホーン型スピーカーS-076のインピーダンス特性

 インピーダンス特性は、やや見方が難しいのですが、スピーカー箱の動作を知るための多くの情報をくれます。具体的には、特性のディップ(谷)が共鳴周波数になります。

 バックロードホーンは、直径数mの極めて大きな開口部をもつものを除けば、ホーンが共鳴を起こします。詳しくは割愛しますが、インピーダンスマッチングという考え方で説明することができる現象です。

 今回のS-076では、49Hz, 100Hz, 180Hzで共鳴が起こっています。
多少のズレはありますが、基音、2倍音、4倍音に相当します。これは、典型的なバックロードホーンの共鳴特性です。

 余談ですが、同じ音響管型のスピーカーでも、広がり(テーパー)をほとんど持たない「共鳴管型」の場合は、基音、3倍音、5倍音のように奇数のみに倍音が出ます。
 こうした共鳴特性の違いから、より細かく倍音が出せるバックロードホーン型は、低音の質感の表現が有利だと感じています。

 さて、S-076のインピーダンス特性から、基音が49Hzと分かりました。ここから、S-76の実際の音道長を計算することができます。
 340(m/s)÷49(Hz)÷4=1.73(m)

この「S-076」は、ホーン長を1.7m狙いで設計をしていたので(参照)、ほぼ狙い通りの結果だったといえるでしょう。図面からのざっくりとしたホーン長の推測と、こうした実測特性から求めるホーン長は、案外一致することが多いと感じています。



 このように、インピーダンス特性を測定すると、箱の音響的な動作をクリアにすることができます。
 しかしながら、「インピーダンス特性は、ちょっとハードルが高い...」と感じられる方も多いかもしれません。その場合は、実はユニット直線の周波数特性を測定することで、同じようなデータを手に入れることができます。

  バックロードホーン型スピーカーS-076のユニット直近の周波数特性

 これは、スピーカーユニットの振動板から、約1cmの近接距離にマイクを設置して測定した特性です。このとき、振動板にマイクが触れないよう注意する必要があります。

 ここでも、ディップ(谷)を確認すると、45Hz, 100Hz, 180Hzと若干のずれはありますが、ほぼインピーダンス特性と同じ、共鳴周波数の値を読むことができます。
 これは、共鳴が起こることで、ユニットの空振り(運動エネルギー)が抑制されたことを意味しています。共鳴状態のように効率よく音響エネルギーが放出されている状態では、振動板の運動エネルギーは小さくなります。これは、バックロードホーン型だけでなく、バスレフ型、共鳴管型の全てで言えることです。

このようなユニット近接での周波数特性測定は、インピーダンス測定で得られるのに近い情報が得られることに加え、マイクのキャリブレーションが必要なく、安価なマイクで(それこそweb会議用のマイクでも!)測定できる手軽さがあります。

スピーカーを作ったときには、ぜひユニット振動板近接位置の周波数特性をとってみてみることをオススメします。


~続く~


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