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SW-1A

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   サブウーハー「SW-1A」
   (希望小売価格 178,000円 1本、税込)

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【解説】サブウーハー「SW-1A」

目次

・サブウーハーが「必須」であると、言える理由

・サブウーハーは、なぜ否定され続けるのか

・サブウーハーが抱える問題点① 振動板

・サブウーハーが抱える問題点② エッジ

・サブウーハーが抱える問題点③ 箱

・理想のサブウーハーの3条件

・小口径×高品位の次世代型サブウーハー

・スピーカーユニットの開発

・エンクロージュア(箱)の開発

・バスレフポートの開発

・SW-1Aの試聴テスト

・おわりに



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サブウーハーが「必須」であると、言える理由

 低音は、音楽を支える基本となる音域です。 それはパイプオリガンのよう特別な楽器にとどまらず、例えば、コントラバスやピアノは30Hzからの帯域を持っていますし、バスドラムは20Hzからの低音を含んでいます。 身近な音楽の殆どに、超低音域は入ってきているのです。

   楽器の音域と、低音の周波数と聴こえ方

 これらの超低音は、限られた大型スピーカーでしか再生できないとされてきました。 しかしながら、40cmを超える大口径ウーハーを、一般家庭に導入するのは困難が伴います。 仮に大型スピーカーを導入するスペースがあったとしても、転居や大掃除のときに一人で動かすことができなくなってしまい、そのシステムを使い続けることが重荷になってしまいます。
   
    サブウーハーが担当する帯域

 この問題点を解決するのが、サブウーハーです。 メインスピーカーは今までと同じものを使いつつ、音楽再生に必要な超低音域のみをサブウーハーに任せることで、手軽に超低音の恩恵を享受することができます。 近年はレコーディングスタジオにもサブウーハーが導入されるケースは多く、プロの目線でもサブウーハーの重要性が認識されるようになってきています。


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サブウーハーは、なぜ否定され続けるのか

 サブウーハーは、是か非か。

 ステレオを中心とするステレオ再生でサブウーハーを使う事例は、残念ながらそこまで多くありません。 低音は専ら、メインスピーカーが担当し、そのグレードアップ(大抵はより大型なスピーカーへの買い替え)が低音改善の最も効果的な手段とされてきました。

 サブウーハーを使わない理由を聞くと「低音の質感が合わない」「今でも十分すぎるほど低音が出ている(むしろ低音過多で困っている)」「低音の入っている音源を聴かない」など、様々な返事が返ってきます。 SW-1Aの開発者としては、理解はするけれども、ちょっと勿体ないなぁ...と感じてしまいます。

 時代の変化とサブウーハーの在り方

 サブウーハーを使った低音補強をすることは、かつて1960年代初頭には「3Dステレオ」と呼ばれ、池田圭氏の著書にも度々登場しています。 しかし、30~38cm口径ウーハーを使う大型スピーカーが隆盛の時代でもあり、サブウーハーはあまり注目されませんでした。

 21世紀に入り、DVDオーディオやSACDが登場。 サブウーハーを含めた5.1chでのマルチチャンネル音楽再生に注目が集まりました。 また、高効率で大出力を出せるデジタルアンプの発展もあり、密閉型の筐体と、大出力のデジタルアンプを使い、低音のスピード感を謳う製品が増えてきました。

 しかし、それから四半世紀が経った現代でも、依然としてHiFiオーディオ界のサブウーハーに対する慎重な意見は根強く残っています。 それは、サブウーハー設計に根本的な問題点があり、真に音楽再生に適するサブウーハーを既存メーカーが提案できていなかったからと考えています。


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サブウーハーが抱える問題点 ① 振動板

 サブウーハーのスピーカーユニットの振動板は、一般的に「コーン型」と呼ばれる円錐形です。サブウーハーだけでなく、世の中にあるウーハーの過半数が、このコーン型の振動板ではないでしょうか。

 コーン型振動板は、非常に合理的でして、薄い素材をこのコーン形に成型するだけで上下方向に対して強い強度を持たせることができます。 軽く、かつ前後に激しく動くスピーカーの振動板にとって好ましい形状の一つであり、スピーカーが発明された100年以上前からこの形状が使われいます。

 コーン型振動板に対する応力のイメージ図



 しかし、コーン型の振動板は、横方向からの応力(図中の赤矢印)に対しては、極めて脆弱という問題点を抱えています。 コーン型の振動板を横から押したとき、形状に由来する強度の発現はなく、たとえそれがカーボンファイバーやチタンといった高いヤング率をもつ材料であっても、容易に変形してしまいます。

 横方向の変形が起こっている振動板からの音は、緩くモヤついた低音として聴こえてきます。 周波数特性には現れにくいためあまり議論されることはありませんが、ダイヤトーンが1970年代にレーザーホログラフィー測定やモーダル解析を使ってその問題点を指摘しています。 残念ながら現在、ダイヤトーンは家庭用HiFiサブウーハーを製造しておらず、この横方向からの応力についての問題は依然として未解決なままになっています。

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サブウーハーが抱える問題点  ② エッジ

 サブウーハーに搭載されるスピーカーユニットには、振動板の周囲に「エッジ」と呼ばれる柔らかい部品があります。 スピーカーが音を出して、振動板が大きく前後する際にも、エッジがあることでその動きに追従することができます。

   スピーカーユニットの振動板とエッジ

 これは当たり前のことですが、「振動板」は各社がその剛性や強度を競うのに対し、柔軟に動くことが求められるエッジは(原理的に)固くすることができません。 しかしながら、スピーカーの外と中を隔てるという意味では、振動板とエッジの役割は同じです。

 市場にある大半のサブウーハーは、低い音をより大音量で鳴らせるよう、エッジは大きく(太く)設計されます。


   サブウーハーのエッジの問題

 しかし、このエッジを広げて振幅を稼ぐ手法は、エッジが振動板であることを忘れています。 柔らかいエッジの面積を大きくすることは、振動板の強度が低下することと同じです。 低音を大音量で再生できるようエッジの面積を広げた一般的なサブウーハーの音は、振動板の剛性を感じにくい、柔らかく淀んだ低音になってしまうのです。

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サブウーハーが抱える問題点 ③ 箱

 低音は、スピーカーユニットから出ていると思われがちですが、実は低音再生における箱の影響は非常に大きなものがあります。

 下図に示すように、スピーカーユニットの振動板が音を出すために前に出ようとしたとき、箱の内部の圧力は陰圧になります。 その力は「背圧」と呼ばれ、振動板の動きを妨げるような働きをします。
  サブウーハーとエンクロージュア背圧の問題
 振動板が前に動くとき、それはすなわち、スピーカーがアンプからの電流を受けてボイスコイルが前に動こうとする瞬間です。 しかし、それと同時に、振動板は背圧によって後ろに引っ張られています。これは、前に行くためにアクセルを踏んでいるのに、ブレーキも同時に踏んでいる状態です。

 近年のサブウーハーでは、小さな箱でありながらより低い音を出すために、1000W近いハイパワーなアンプと、DSPによる信号処理やMFBを組み合わせ、小さな箱に起因する大きな背圧に抗う設計がなされます。

 しかし、こうしたデジタルアンプやDSPで強制駆動する方法には大きな問題点があります。 それは、これらのサブウーハーを駆動するための大電力(100W~1000W)の殆どは、ボイスコイルで熱になり、ボイスコイルが加熱されることで電気抵抗が増大し、ダイナミックレンジが圧縮されるという現象が起こるという事です。 ダイナミックレンジとは音の強弱の幅であり、これが削がれると再生音の脈動感やスピード感が低下し、音楽のノリやリズム感の表現が大きく悪化してしまいます。

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理想のサブウーハーの3条件

 オーディフィルが考える理想のサブウーハーの3条件は、【速】、【深】、【楽】です。

【速】
スピード感があり、音階が明瞭であること。 質感表現において、メインスピーカーを凌駕できる。

【深】
深く沈み込む低音であること。今まで聴こえなかった低音がきこえる。 楽曲に漂う気配の表現力を強化できる。

【楽】
一人でも容易に、階段を使って2階に運搬できる重量。 設置時だけでなく、移設時にも困らない。



 【速】について
 低音は、周波数特性だけだけでは語れない要素として、時間軸の表現力や、音階の明瞭さがあります。 『〇Hzまで再生できる』ということに加え、それが原音に忠実であり、克明に再現できるかが、音楽再生の満足度を大きく左右します。
 低音の時間軸がズレていると、迫力や量感があっても、その中身が分かりずらい低音になりがちです。 ベーシストの指が見えるような低音、大太鼓のバチが皮にあたった瞬間が手に取るように分かる低音。 こうした低音は、「低音再生下限が〇Hzまで伸びている」ことだけでは不十分であり、時間軸の正確さ、すなわち低音の速度が十分にあることで再現が可能になります。

 【深】について
 低音域には、思った以上に様々な音が含まれています。 基音が50Hz以下にあるコントラバスや、ベースギター、さらにはパイプオルガンや大太鼓などが低音再生で有名ですが、ボーカルの破裂音(ぱ・ば・た・だ 等の音)、グランドピアノの深い響きなどでも、低音の再現性が問われます。
 低音は「迫力がある」と称されることがありますが、ノイズを十分に下げた低音再生はとても耳に優しく、深い泉から湧き出るような存在感と脈動感を音楽にもたらします。 また、低音再生能力が高いオーディオシステムで、低音が入っていない楽曲(たとえば、バイオリンソロなど)を聴くと、清らかで清々しい雰囲気がより一層際立つことに驚くことでしょう。

 【楽】について
 オーディオ機器のカタログを眺めるのは、とても胸が躍るものです。 超弩級の機器から出てくる音を想像する楽しみは、オーディオマニアであれば誰もが経験したことがあることでしょう。
 しかし、実際に装置を手に入れ、設置する。 そして、日々の生活を送る段階になると、重さや大きさによる問題が一気に浮上します。 オーディオへの情熱が燃え上がっているときは、多少の不自由は「興奮」や「達成感」として受け入れられますが、心境の変化や、生活環境の変化が避けられない長い人生のなかで、そうした不自由は少しづつ重荷になってくるものです。
 オーディフィルでは、「20kgを超えない重さ」「一人で持てる大きさ」を、好ましい範囲と考えます。 これからも長きにわたってオーディオを楽しんでいただくために、重厚長大になりがちなサブウーハーでも、この原則を守っています。


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小口径×高品位の次世代型サブウーハー

 SW-1Aの最大の特長は、小口径ウーハーユニットを適正なサイズのエンクロージュア(箱)に収め、低音のレスポンスを極限まで高めていることです。 従来の高級サブウーハーは、概して重厚長大な大口径のウーハーユニットを(相対的にみて)小さすぎる筐体に収め、ハイパワーアンプでドライブする戦略をとってきましたが、それが先述したサブウーハー特有の問題を引き起こしてきました。

 SW-1Aではオリジナルの超強力な小口径ウーハーユニットを搭載することで、可聴帯域下限に迫る24Hzまでハイスピードなサウンドを手に入れています。

 サブウーハーSW-1A搭載のスピーカーユニット
 SW-1Aに搭載される17cm口径ユニット


 余談ですが、試作の過程ではより口径の大きなスピーカーユニットや箱も試しています。 しかし、口径が大きいことや筐体が大きいことと、良質な低音が出ることはリンクしませんでした。 必要十分なサイズの小口径振動板こそが、スピード感のある低音再生のための最適解なのです。

 21cmウーハーを使ったサブウーハー検討 21cmウーハーを使ったサブウーハー検討
 21cm口径ウーハーを使った試作

 40cm口径振動板のサブウーハー検討
 40cm口径ウーハー(市販品)を使った検証

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スピーカーユニットの開発

 SW-1Aには、全ての方向からの応力にたいして高い強度を示す「構造剛性振動板」を搭載した、スピーカーユニットを使用しています。

 コーン型振動板に対する応力のイメージ図

 構造剛性振動板では、既存のコーン型振動板に補強構造を施し、横方向(赤矢印)の応力に対する剛性を高めています。

 初期検証
 
 構造剛性振動板の初期検討 構造剛性振動板の初期検討

 まず、「竹ひご」を使い、振動板の上に補強構造を作ることで、横方向からの剛性を強化してみました。 振動板全体を厚くするのでなく、必要なところに最小限の補強を施すことで軽量かつ高剛性な振動板を目指しました。 これが私が初めて製作した構造剛性振動板です。

 この構造剛性振動板からは、今までに聴いたことがないようなピュアで深みのある低音を聞くことができました。 フルレンジスピーカーをベースにした非常に簡易的な実験でしたが、振動板の剛性を飛躍的に高められたことが好結果に結びついたものと思われます。


 3Dプリンターの導入検討

 さらなる改良のため、結晶性の高硬度な材料を3Dプリンターを使って0.1mm単位で精密造形したものを検討しました。 従来手法と比べて飛躍的に精度を高めることができ、一般的なコーン型振動板とは別格の表現力に満ちた超低音再生が可能になりました。

  3dプリンターによる構造剛性振動板
  写真左:コーン型振動板
  写真右:構造剛性振動板の試作モデル


 このドライバーを搭載した前作「SW-1」は、ハイエンドオーディオを愛する方々から、たくさんのお褒めの言葉を頂きました。 本作「SW-1A」は、次に述べる振動板設計の最適化をすすめ、再生品位のさらなる向上を果たしました。

 サブウーハーSW-1 導入事例1
 DIATONEの小型スピーカーと、前作「SW-1」の組み合わせ

 サブウーハーSW-1 導入事例2
 ビンテージのフルレンジスピーカーと、前作「SW-1」の組み合わせ


 構造剛性構造の試行錯誤と最適化

 試行錯誤を繰り返すなかで、振動板の中央と最外周の剛性を高めることで、振動板全体の剛性バランスを改善できることが分かってきました。 不必要な部分には軽量化を施し、必要な部分により重点的に補強を入れることで、極めてクリアな低音再生が再生できるようになりました。

 サブウーハーSW-1Aのウーハーユニット検討
  (左上)前作SW-1搭載ユニット (右下)NG試作品。最外周の補強が不足。

 サブウーハーSW-1Aの構造剛性振動板
  SW-1A搭載ユニット


 なお、この補強構造の付与は、平面振動板や、振動板の重量増(M0上昇)による共振周波数の増大(f0低下)を狙ったものではありません。

 振動板形状が「平面か凹面か」によるタイムアライメントや周波数レスポンスの違いは、振動板サイズに対して音波が非常に長くなるサブウーハー帯域では差が生まれません。

 また、補強構造の付与によりf0の低下が副次的に起きていることは否定しませんが、先に述べたように最適な補強構造でないと(仮に同じ重量の構造体を付与したとしても)低音質感はむしろ悪化します。

 既存の常識にとらわれず、実験に基づく仮説検証を繰り返してできた最終形態が、SW-1Aの振動板なのです。

 サブウーハーSW-1A


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エンクロージュア(箱)の開発

 サブウーハーの低音は、非常に大きなエネルギーをもっています。 そのエンクロージュア(箱)は、十分な強度を持っていなければなりません。

 SW-1Aのエンクロージュアは、8年間の歳月をかけて多種多様な試作検討を経て開発されました。その一部をここで紹介します。

 密閉型とバスレフ型の比較 バスレフ型エンクロージュアの補強構造検討
 (左)密閉型とバスレフ型の比較、(右)補強構造の検討

 音響管を使った、定在波低減実験 アルミ材によるエンクロージュア補強
 (左)音響管による定在波の低減実験、(右)アルミ棒材による箱強度の改善


 SW-1Aの開発でブレイクスルーとなったのは、振動挙動シミュレーションによる評価でした。 シミュレーションをすると、スピーカーユニットを入れるための穴がウィークポイントになり不要振動が起こる可能性あることが分かりました。

   シミュレーションした振動モードの一例


 そこでSW-1Aでは、エンクロージュア内部に立体的な補強構造を入れています。 これも試作のなかで様々な補強構造を試したのですが、中央部に丸穴をあけた仕切り板を入れることが最も効果的であることが分かりました。 また、補強構造を過剰に入れてしまうと低域の脈動感が減ってしまう現象が確認されたため、必要以外の部分を徹底的に肉抜きすることで、クリーンでありながら脈動感のある低音再生を獲得できました。

 サブウーハーSW-1Aの内部構造
 SW-1A(試作機)の内部構造

 SW-1Aのエンクロージュア内部構造はは、従来の棒状の部材での補強と比べて「ひし形変形」に強いだけでなく、箱を構成する外壁と内部補強材の接合強度も高めることができたため、箱を叩いたときの中低域のボンボンする響きを大きく抑制することができました。

 なお、エンクロージュア内部に吸音材は入れていません。 吸音材を入れると、低音が鈍くなったため、あえて入れない選択をしています。


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バスレフポートの開発

 SW-1Aはバスレフ型のサブウーハーです。 バスレフ型は密閉型と比べて、より軽量な振動板、より小口径のドライバーを使うことが可能です。 そのため、理論上では密閉型に劣る特性(特に時間遅延に関して)を示すバスレフ型ですが、実際に聴き比べると、より開放的で脈動感に富んだ低音再生にはバスレフ型が有利であることが分かると思います。

 
 2つのバスレフポートをもつ、サブウーハーSW-1A


 ここでは主な設計ポイントである、①バスレフ共振周波数の最適化 ②フレア形状の最適化 ③バスレフポートの固定 の3点を説明します。

 ①バスレフ共振周波数の最適化
 バスレフ共振周波数は、聴感での低音質感を重視して決定しました。 バスレフ共振周波数が50Hz以下になると、フラット特性にすると概してバスレフ共振周波数が目立ちがちです。

 SW-1Aでは、バスレフ共振周波数で音圧が-10dBとなるロールオフ特性になるよう調整し、硬質かつスピード感のある低音表現としています。


 ②フレア形状の最適化
 大音量時のポートノイズの低減に、バスレフポート端面のフレア形状は非常に重要です。 バスレフポート端面での乱気流は「ビビビ…」「ビュビュビュ…」という耳障りなノイズを発生します。 これは楽器のフルートのように、バスレフポート内の乱気流で管共鳴が励起されるためです。
 余談ですが、大音量での低音再生時の「ボボボ…」という鈍く低い音のノイズは、バスレフポートではなく、スピーカーユニット側のノイズであることが多いです。

 LES乱流モデルによるポート入口の流体の流れ
 LES乱流モデルによるポート入口の流体シミュレーション
 (参考)Rapoport, Z. and Devantier, A., “Analysis and Modeling of the Bi-Directional Fluid Flow in Loudspeaker Ports,” in Audio Engineering Society Convention 117, San Francisco, (2004)

 フレア形状は、論文をもとに「乱流が最も抑えられる30°の広がり角度」が主となるよう設計しています。(上図参照) また、バスレフポート内側端部にもフランジを設け、バスレフポート両端の流体抵抗の非対称性を低減し、奇数次高調波ノイズを低減させています。


 ③バスレフポートの固定
 バスレフポートは、それ自身が構造材として振動します。 大地から長く伸びたヒマワリが、風でフラフラと揺れるように、バスレフポートも固有の周波数で揺れます。 この時に、本来は音になるべきエネルギーがダクトを揺らすことに使われてしまい、聴感上の問題が発生します。

 SW-1Aでは、バスレフダクトをエンクロージュア内部に固定し、不要振動を抑制しています。 不要な内部振動を抑制することで、より忠実な低音再生を実現しました。


関連記事 「23.バスレフポートの形状と音質」

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SW-1Aの試聴テスト

 様々な場所をお借りして、試作機のSW-1Aを聴いて頂きました。
 
 
 オーディオライター 炭山アキラ氏 宅 (SW-1A試作機 1台)
 8cmフルレンジのバックロードホーン、16cm口径「FE168SS-HP」密閉箱との組み合わせ。

 もちづきオーディオ倶楽部 スピーカー作例
 もちづきオーディオ倶楽部 Vol.1 (SW-1A試作機 1台)
 20cm口径 後面開放型スピーカーとの組み合わせ
 
 アニソンオーディオフェス2025 カノン5D
 アニソンオーディオフェス2026 (SW-1A 試作機を含む 4台)
 16cm口径バスレフ型スピーカーとの組み合わせ

 共通して頂いたコメントは、①音階が明瞭 ②本体サイズを超える、低域のパワー ③中高音の純度を阻害しない、という点です。 頂いた感想の詳細は、試聴ページに記載しています。


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おわりに

 SW-1Aは、私自身が小型を作る中で「低音に困らずに、いろいろな曲を最高の音で聴きたい」と思って作った作品です。
 オーディオには様々な再生音に関する悩みがありますが、低音が出ない、低音が伸びない、低音の質感が悪い、低音が出過ぎる…、といった低音に関する悩みが解消されれば、確実に音楽再生が楽しくなります。

 私のメインスピーカーは、無垢ひのき材を使った「ひのきスピーカー」です。その繊細な響きを壊さずに自然に超低音を付与できるのがSW-1Aです。ぜひSW-1Aを手元に置いて、バスドラム、和太鼓、パイプオルガン、コントラバス、シンセベース 等々、超低音の入った楽曲を思う存分に楽しんでいただければと思います。

      


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